三地域対抗マッチレポート
「関東代表V関西代表」

【3月9日秩父宮ラグビー場】
 関東代表にとって初戦となる今年の三地域対抗は"ホーム"秩父宮ラグビー場に関西代表を迎えて行われた。

 ゲームの主導を最初に握ったのは風上を取った関西代表。前半3分にプロップ久保木貴紀選手(ホンダ)の突進からロックの大内亮助選手(ワールド)が左隅にトライをあげた。

前半10分にNECを"日本一"に導いたウイング窪田幸一郎が70m走りきり同点においつくと、ゴールをキャプテンの中瀬真広選手(東京ガス)がキッチリ決めて逆転に成功。

その後、関東代表はBKの展開からチャンスをつくりセンター西村圭哉選手(リコー)、スタンドオフの中瀬選手がトライを決めれば、関西代表はFWを中心に対抗、スクラムハーフ田井中亮範選手(ヤマハ発動機)の巧みなパスから再びロックの大内選手(ワールド)がこの日、二つ目のトライを奪い、前半は関東が21-17と4点リードで折り返し、ゲームは昨年同様に試合はシーソーゲームに。

 後半、最初にインゴールを陥れたのは関西代表。今村友基選手(神戸製鋼所)に代わってスタンドオフのポジションについた近畿大学4年の宮里尚樹選手が鮮やかなステップから密集を抜け出し、25mの独走トライを決めた。

 後半8分、関東代表が細かくつなぎ、フッカー塚越賢選手(東芝府中)が突破し、最後はロック生沼元選手へラストパスを放ち、28-22と再び逆転。

 しかし、後半13分にキャプテンのセンター山崎明俊選手(近鉄)が左中間にトライを決め、宮里選手がゴールを成功、28-29と3度目のリードを奪った。

 その10分後に関東代表が早い展開と細かいパスを織り交ぜ、最後はスピードのある三須城太郎選手(三洋電機)が右中間にフィニッシュ。33-29と三度逆転。

 その直後の後半27分、FWに勢いがある関西代表はフッカー田中洋平選手(JR西日本)やロック林慶鎬選手(神戸製鋼所)を中心に連続攻撃を展開、センターの今利貞政選手(ヤマハ発動機)が強引にインゴールに飛び込み、4度目の逆転に成功。そのまま、残り時間を関西代表が守りきり、ノーサイド。2年ぶり14回目の優勝を決めた。関西代表にとって、このカードの通算成績は18勝22敗2分け。

 関西代表の中谷誠監督は「苦戦したが、選手たちがよく頑張ってくれたと思います。関東代表に勝て、本当に嬉しい。選手にはグラウンドをワイドに使い、早い展開をするように指示しました。選手のフィットネスがオフにも関わらず高く、先週の九州代表とのゲームでもあれだけ走り回ったのにバテなかったので、コンディションは非常に良い状態で試合に臨むことができました」と"まんてん"の笑顔。

 山崎キャプテンは「今年度のラグビーは関東勢にやられっぱなしだったので、関西の意地をどうしても見せたかった。最後に攻め込まれたシーンで、みんなよく耐えて我慢してくれた」と勝因を語る。

 一方、"ホームゲーム"を落とした関東代表の狩野均監督。「大変悔しい。ペナルティーが多すぎて、波に乗り切れなかった。ボールがでていればトライというシーンでのミスが痛かった。来週の九州代表戦に向けて修正し、頑張りたい」

 また中瀬キャプテンは「前半の最初の10分と、後半の最初の10分に最初にトライを取ってペースに乗ろうとしたが、逆に関西に主導権を取られてしまった。それにしても単純なノックオンなどのミスが多すぎた。これでは勝つことは難しい」と自滅を悔やむ。

 大屋尊政FWリーダー(東京ガス)も「関西のコンタクトプレーを受けてしまった。最初から受けてしまい、勢いづかせてしまったのが最後まで響いた」と振り返る。

 関東代表は来週16日に福岡・博多の森球技場にて九州代表と対戦する。(終)

長谷川 仁


強風が時折吹き付ける中でゲームはキックオフ

後半にチャンスを作った関西17番田中の突進

強力なパックをみせた関西FW

ノーサイドの瞬間に笑顔を見せた中谷監督