北海道で初のタグラグビー大会開催 初めてやったけどおもしろかった。運動の苦手な子が輝いていた!
文:涌井大輔(北海道余市町立大川小学校教諭)
2月14日、余市町総合体育館にて【タグフェスタin余市】が行われ、地元の小学生や札幌、小樽のスクールの子供たち137名が参加してタグラグビーを楽しみました。
午前中はタグラグビー講習会。日本協会普及委員の飯原雅和さん、鈴木秀人さんをお迎えして行われました。受付をすませ、ひまそうにしている子供たちを見るやいなや、勢いよく飛び出し「さあ、はじめるよ〜」と声をかけると「わーっ」と集まる子供たち。開会式までの間、4角に分かれて中央にあるボールを自分の所に3つ集めるゲームや、1列になってボールを上からリレーして回す競技をしてウォーミングアップをしました。
開会式が終わると、経験者未経験者に分かれてのタグラグビー講習会が行われ、初心者対象の低学年児童を集めたグループでは、鬼ごっこや、たから鬼などをして楽しみました。わずか2時間ほどで初めて楕円球を持った小学校1,2年生の子供たちが最後はゲームができるほどにまで上達。たちまちタグラグビーの魅力にとりつかれました。
また、地元の豊丘小学校(全校児童13名)から参加した児童のうち、運動の苦手だった2年生の女の子がボールを持って楽しく活動していた場面を見て、引率した遠藤隆典教諭は「自由に走り回って体育の時間には見たことのない表情をしていた。タグラグビーは他のスポーツに比べて先入観が無く、鬼ごっこの逃げて楽しい要素が加わっているのがいい」と、ラグビーがもたらす教育的効果について話してくれました。
普及委員の飯原さんは「タグラグビーは技術は問わず、ボールを持って駆け抜けるだけ。誰でも楽しめるスポーツですし、後ろにパスしながら進むため、機敏な子以外でもプレーに参加しやすい。だからみんなが楽しめるスポーツなんです」と話し、鬼ごっこやゲームを中心にメニューを組み立て、子供たちに自由に遊ばせている姿が印象的でした。子供の本能をいかに引き出すかが、指導者側のポイントなのかもしれません。
午前中の講習会が終わると、お昼の時間を使って研修室にて指導者向けの講習会が行われました。鈴木秀人先生(東京学芸大学助教授)が講師となり、【小学校学習指導要領へのタグラグビー導入に向けて】という内容で、スクール関係者、地元の小中学校教諭約30名を対象にタグ普及に向けてののぞましいあり方についてお話をいただきました。「単にラグビーを普及させるという狭い次元を越え、体育の学習をより豊かなものにできるという視点から、タグラグビーの教材としての価値を小学校教師達にわかりやすく説明することが大切」と鈴木先生。タグラグビーがもたらす教育的効果は計り知れず、この根拠をしっかりとおさえた上で普及をしていくことが、学習指導要領へのタグラグビー導入につながるという考えを、短い時間の中お話いただきました。
午後は【第1回北海道タグラグビー大会】を開催。札幌ラグビースクール、小樽ラグビースクール、北海道バーバリアンズJr、余市大川小学校から全10チームが参加。熱戦が繰り広げられました。大会形式は3,4年生の部と5,6年生の部に分かれ、3,4年生の部は全4チームの総当たりリーグ戦形式。5,6年生の部は3チームごとの2ブロックリーグ戦形式で、その後はフルコートで順位に応じた決勝戦を行いました。
大会は実戦経験豊富な小樽・札幌のチームを相手に地元・余市町のチームも果敢な攻撃を見せて健闘しましたが、一歩及ばず、3,4年生の部では小樽ラグビースクールが優勝。5,6年生の部では札幌ラグビースクールがそれぞれ優勝しました。優勝した札幌ラグビースクール高田亮君は「展開が普通のラグビーよりも速いので面白い」と興奮気味に魅力を話してくれました。どの試合も手に汗握る接戦で、見ていた観客の人々をハラハラドキドキさせてくれました。
今回の【タグフェスタin余市】は北海道内では初めての試みでしたが、子供たちは十分に満足してくれたことと思います。雪で閉ざされてしまう冬だからこそ、サッカーのフットサルのような感覚で、新たなインドアスポーツの一つとして認知されてけばいいなと思っています。北海道ではまだまだタグラグビーはスタートしたばかりですが、今大会を契機に広がりを見せてくれることを願ってやみません。今大会開催にあたり、普及委員である飯原雅和氏、鈴木秀人氏、北海道ラグビー協会の皆様方、後援いただいた、余市町教育委員会、日刊スポーツの皆様に感謝申し上げます。
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