<日本クラブ委員会アピール>
忘れていませんか、ラグビーで最も大切なものを

 ラグビー人気復活のために色々な場で様々な論議がなされ、改革が始まった。組織の変更、大会システムの見直し、プロ化・・・。それぞれの試みは試行錯誤をしながらも一定の成果をもたらすだろう。しかし、このような改革の嵐の中で、もっとも大切なものが忘れられてはいないだろうか。
 新日鐵釜石が日本選手権を連覇し続けた時代、満員の国立競技場のグランドには「ラグビーの素晴らしさ」が満ちあふれ、「感動」が、「生きる力」が、そして「とびっきりの明るさ」が輝いていた。多くの人々は、「一人は15人のために、15人は一人のために」「自分を殺して他人を生かす」「ノーサイドの精神」「アフタマッチファンクション」「フェアプレーの精神」・・・、これらラグビーの持つ独特の文化に感動し、ラグビーにとりつかれていった。
 あれから10年。ラグビー人気の凋落とともに、ラグビーで最も大切なものが忘れ去られようとしている。ストッキングをだらしなく下ろしてプレーする選手。ジャージがパンツの外に出ていても平気なプレヤー。相手選手がつかみにくいようにジャージのエリを中に折り込んでしまう。挙げ句の果てに、ジャージの袖をまくり上げてテープで止めてしまう者さえ現れた。そこには「フェアプレーの精神」のかけらもない。試合終了後、レフリーと、そして相手選手と健闘を称えあい握手する選手を見ることも少なくなった。ノーサイドの心はどこへ行ってしまったのだろうか?
 多くの人々を魅了したラグビーの精神が失われようとしている。ラグビーの魅力を高め、ラグビーが多くの人々に愛されるため、私たちクラブのラグビーに携わる者に、今こそラグビー精神の涵養が求められる時はない。
 日本クラブ委員会は、直ちに活動を始める。日本ラグビー再建のため、ラグビー精神のルネッサンス運動を。

・ 試合終了後、レフリーと、そして相手選手と握手をしよう。
・ 規律ある服装で試合をしよう。
・ ファンクションで相手チームとともに語ろう。
・ そして、フェアプレーでラグビーを楽しもう。

多くのラグビー選手、チーム関係者、そしてラグビーを愛する全ての人々がこの運動に賛同し、満員の国立競技場で再び「ラグビーの感動」を。その日の実現のため、日本クラブ委員会はその先頭に立ち続ける決意である。